前回に続きまして、今回は白い革靴の中でもスムースレザーのお手入れについてご紹介していきたいと思います。
革の加工方法はそれによって適したお手入れが変わる重要なポイントなので、
ここで少し革の着色方法についてお話しさせてください。
革を白く加工する際、「顔料」というもので着色し、
仕上げ加工をするものがほとんどです。
●顔料とは
顔料は例えると塗料ならペンキ、お化粧ならドーランのようなものです。
しっかりと革の表面をコーティングをすることで、
革そのものの風合いに影響されない、均一で綺麗な白色をつくっています。
コーティングになるので、革自体が撥水性を持つようになります。
(一方で染料は革の繊維に色がしみこむような方法で色を付けます)
色も違うので少し分かりずらいのですが、左の靴は染料で仕上げをしています。
そのため、革の風合いが少し影の様に見えています。
一方で顔料仕上げをしている右の白い革靴は、つるんとして均一な様子がわかると思います。
●顔料仕上げの靴の特徴
顔料仕上げをした靴はそもそも水分を弾いてしまうので、
靴クリームもあまり浸透せずに弾いてしまいます。
そのため、ナチュラルレザーのお手入れで推奨されるような
色付きのクリームで色を付けるようなお手入れはあまり適していません。
専用のクリームも浸透しずらいというのはポジティブに考えるとそれだけ汚れも付きづらいということです。
ちょっとふざけているように聞こえるかもしれませんが、
実際に履いていて顔料系の加工をした革靴は本当に汚れや雨に強いです!
前置きが長くなってしまいましたが、
ここからが本題のお手入れについてです。
クリームでのケアをしないかわりに「白い靴のお手入れ」では
表面に付着している汚れを取ることがメインとなります。
★お手入れの方法
1.埃っぽい汚れはブラッシングで落とす
2.ブラッシングで落ちない汚れを落とす場合は、革靴用のクリーナーを使用するかアルコール入りのウエットティッシュで拭くのがおすすめです
(この際に強くこすりすぎると部分的な色落ちの原因となります)
3.革の乾燥が気になる場合は無色のクリームで保湿する
4.ソール部分も固く絞った布巾やウエットティッシュやで汚れをふき取る
(しっかり汚れを落としたい場合には次回にご紹介するソール専用のクリーナーもおすすめです)
また、絵具のような専用の白い革用の補色剤もありますが
白色は、色の違いが目立ちやすかったり、色むらなく塗るのが難しい場合があります。
当店では、ご自身で作業する場合はベルト部分や擦れてしまった部分へのポイントでの使用をおすすめしています。
「お手入れ方法」と銘打って、お手入れ方法の解説を1行で終わらせるわけにはいかないので先ほどはスタンダードな方法を解説しましたが、白い靴は基本的にはブラッシング、汚れが付いたのに気がついたらウエットティッシュで拭きとるぐらいでもかなり綺麗に保てます。
「ウエットティッシュで拭くだけで良いの?」
と不安になる方もいるかもしれませんが、色落ちの原因になるのでやりすぎは却ってよくありません。
また、クリームも油分が強すぎたりするものを頻繁に塗ってしまうと変色の原因になることがあります。
お手入れのキーポイントは「やりすぎない」ということです!
★防水スプレーについて
最後に防水スプレーについてですが、
顔料での着色自体がコーティングなので撥水機能があります。
そのため、防水スプレーは布製の靴の様に分かりやすい効果が出ないことがあります。
たとえばもともと綺麗な鏡を水垢・鱗汚れが良く落ちます!という商品で磨いたからといって、
わかりやすくピカピカになったりはしないのと同じようなものです。
また、防水スプレーのかけすぎは変色の原因やひび割れの原因になったり
底についてしまうと滑りやすくなる事もあるため、
お天気が不安だけど、履きたい予定があるという日の前日に使うのがおすすめです。
以上が、白いスムースの革靴のお手入れ方法になります。
ついつい文章が長くなってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
お店では、お靴のお手入れの相談はもちろんですが、お靴をお預かりしての磨きや革靴の彩色補修といったご相談もお受けしています。
気になることや分からない事がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!